1945年8月に米国が広島、長崎に投下した原爆は、10歳未満だった約1万4千人の子どもたちを死に追いやったとされる。
遊び、学校、親の愛情――。被爆前の子どもたちを撮影した白黒写真を人工知能(AI)技術で色づけすると、今の子たちとなんら変わらない、無邪気な笑顔がよみがえった。
広島、長崎両市が続けてきた調査では、原爆投下により、広島と長崎で10歳未満の子計約12万人が被爆した。約1万4千人が45年12月末までに死亡した。10~19歳の死亡者も計約2万4千人にのぼる。
朝日新聞は核兵器の非人道性を伝えるため、広島、長崎で亡くなった子や、両親らを失った子がいる5家族を取材し、被爆前の子どもたちが写っている白黒写真の提供を受けた。
早稲田大の石川博教授の協力を受け、同研究室が開発したAI技術を用いてカラー化した。
16歳で広島で被爆した故・綿岡智津子(ちづこ)さんは、焼けずに残った1枚の家族写真に生涯、複雑な思いを抱いていた。原爆投下の直前、両親や妹と撮ったが、智津子さんを除く全員が原爆で帰らぬ人になった。
智津子さんの長女、岩田美穂さん(64)は、母と家族が写ったその1枚を提供してくれた。
カラー化された写真を見た岩田さんは「時代を超え、亡くなった家族がよみがえってきたみたい」と目を見張った。「亡くなった母のお父さんも喜んでいると思う」と話した。(長富由希子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル