1966年に静岡県で起きた強盗殺人事件で死刑確定後に釈放されている袴田巌さん(85)の第2次再審請求審で、最高裁がやり直しを命じた審理が22日、東京高裁で始まった。高裁は、弁護側が証拠捏造(ねつぞう)を疑う「5点の衣類」に関して検察側に意見書を出すよう求めた。弁護側は、無罪につながる再審を速やかに開くよう訴えたという。
審理は裁判官、検察官、弁護人が出席し非公開で行われた。次回は6月21日。
確定判決では、袴田さんの逮捕から1年後にみそタンクから見つかった衣類が「犯行着衣」とされ、証拠の柱となった。衣類には赤みの残る血痕があったが、弁護側の実験で血の赤みはみそにつけて1カ月後に黒褐色に変化。みそに長期間つかっておらず、第三者による捏造の可能性があると弁護団が主張し、最高裁は昨年12月、血痕の色をめぐる化学反応に絞って審理のやり直しを高裁に命じた。
弁護団によると、弁護側は審理のなかで、「検察の実験でも血液の赤みが消えた」と指摘。「検察側が赤みが残る条件を明らかにできないなら、速やかに審理を終結させ(再審を開くかどうかの)決定を出してほしい」と訴えた。
また、高裁に対し、公判に提出されていない証拠のリストを検察側に開示させるよう求めた。(植松敬、根津弥)
「長い短いと言っても始まらない」
「再審開始が決まれば、巌も少…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル