能登半島地震が起きると、岸田文雄首相は「できることはすべてやる」と言いました。「だったら命の瀬戸際にいる人を守って!」と憤るのは、危機管理アドバイザーの国崎信江さん。有事のたびに新たな計画やマニュアルの作成を押しつける国の災害対応の検証のあり方を繰り返していては「被害は減らない」と訴えています。
――東日本大震災の後、国土強靱(きょうじん)化が進められましたが、実効性はあったのでしょうか。
「本来、国土強靱化計画は堤防工事のようなハードの整備ばかりでなく、災害が起きた後のソフトな対応を視野に入れた施策です。能登半島地震ではこれが十分に機能せず、計画倒れだったことが最大の問題です」
――計画倒れですか。
「地域防災計画、国土強靱化計画、消防計画、地区防災計画、非常災害対策計画、要配慮者利用施設における避難確保計画、社会福祉施設等における事業継続計画(BCP)、社会福祉施設等における地震防災対策マニュアル、津波災害警戒区域内の要配慮者利用施設の津波を想定した災害対策マニュアル、個別避難計画、自主防災会防災計画、避難所運営マニュアル等、いったいいくつの計画やマニュアルが存在しているのでしょうか」
「大規模な災害が起きると次々に新しい計画づくりやマニュアルの改定などが各省庁の検討会を経て発生します。そのたびに自治体職員、地域、施設職員は疲弊する。政府の検討会議で『各機関との連携や実効性のある計画書・マニュアルづくりが必要だ』という提言が繰り返されてきましたが、正直うんざりです」
――ありそうな話ですね。
「過去の災害で計画書やマニ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル