サイバー攻撃などのサイバー事案に対応する体制の強化を図る改正警察法が30日、参院本会議で可決され成立した。警察庁サイバー警察局や、同庁が自ら捜査するサイバー特別捜査隊が4月1日に発足する。
今回の組織改編は、社会のデジタル化が進む中でサイバー犯罪やサイバー攻撃が多発し、深刻化している状況をふまえた対応だ。
従来、生活安全局と警備局、情報通信局にまたがっていたサイバー事案に関する業務をサイバー警察局に一元化。情報の収集・分析などを担当するサイバー企画課、捜査の指揮や海外の治安機関との連絡を担うサイバー捜査課、データなどの解析を行う情報技術解析課で構成する。また、情報通信局を廃止し、長官官房に技術部門を設けて警察通信や業務のデジタル政策などを所管する。
サイバー特捜隊は、組織上は警察庁の地方機関である関東管区警察局に置くが、全国を管轄する。自ら捜索や逮捕、送致など捜査に携わるほか、海外の機関との国際共同捜査にも参加する。東京都内に拠点を置き、4月中に警察官や技術系職員の約200人の態勢を組む予定という。
特捜隊は「重要サイバー事案」に限って捜査する。重大事案は▽国や地方公共団体、重要インフラに重大な支障が生じる▽ウイルスなどの対処に高度な技術が必要▽海外の攻撃集団が関与――のいずれかにあたる場合と規定した。
衆参両院の内閣委員会では、改正法案の可決に際してそれぞれ付帯決議がつけられた。重大事案の捜査に関する国民からの苦情の申し出に真摯(しんし)に対応する▽国際共同捜査に積極的に参加する▽専門人材を確保し、民間の技術や知見も活用する――ことなどを求めた。
警察庁が新たな局を設置するのは、1994年に生活安全局と情報通信局をおいて以来、28年ぶり。(編集委員・吉田伸八)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル