杉山あかり
元日に行方不明の男性を発見したとして、兵庫県警加古川署は9日、鑑識課の警察犬でジャーマン・シェパードのオス、ヴィクトール・フォン・マイン・リーベ号(3歳)に感謝状とビーフジャーキーを贈った。
加古川署によると、1月1日午後7時10分ごろ、「夫が行方不明になった」と妻から署に通報があった。加古川市内の80代の男性が、自宅から靴下のままいなくなったという。
午後8時、ヴィクトールが捜索を開始。男性のくつのにおいを嗅ぎ、男性宅周辺の住宅街を捜した。
男性宅から約100メートル離れた雑木林の近くで、ヴィクトールは急に立ち止まった。外側から雑木林をライトで照らしても、人の姿はない。しかしヴィクトールは雑木林を見つめ、鼻を上向きにして、漂うにおいを嗅いでいるようだった。
「まさかな」。ペアを組む鑑識課警察犬係員の椎谷剛巡査部長(36)は思ったが、雑木林の中を改めて調べた。午後8時半、林の中を20メートルほど入ったところで、座り込んでいた男性を発見した。けがはなかった。男性は認知症を患っていたという。
ヴィクトールについて、椎谷さんは「出動現場ではスマートだが、慣れた人には甘えたがり」。警戒心が強く慎重な性格で、そのぶん音や匂いに敏感という。
出動したのは能登半島地震の発生直後。椎谷さんは「今できることをやろうと思った。今回もスマートに見つけてくれた」とヴィクトールをねぎらった。(杉山あかり)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル