第2次大戦中、戦火を避けようと、都市部の子どもたちだけでなく、奈良の仏像も疎開した。
あまり知られていない史実をベースに、軍国少年の心が敗戦で揺れ動く様を描いた児童文学が生まれた。主人公が相対するのが、自宅に逃れてきた奈良・興福寺の国宝、阿修羅像だった。
作品は「列車にのった阿修羅さん 土蔵に疎開してきた国宝」(くもん出版)。三つの顔と6本の腕、少年のような顔立ちで、天平文化を今に伝える興福寺の阿修羅像が終戦間際、奈良県吉野町に約10カ月間にわたって疎開した史実を題材にしている。
著者は東京都の児童文学作家、いどきえりさん。前作の取材で奈良を訪れていた2019年、仏像疎開の歴史を新聞記事で初めて知った。
京都市出身で、学生時代は修学旅行生のガイドのアルバイトをした。何度も目にした阿修羅像はきれいな顔立ちが好きな仏像だった。「お寺が身近な環境にいたにもかかわらず、疎開なんて聞いたことがなく、驚きとともに興味を持った」
疎開先は町長宅 運搬を手伝ったのは
興福寺の日誌などによると…
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル