西川美和監督の新作映画「すばらしき世界」に主演する役所広司。「映画館に行こう!キャンペーン」や東京国際映画祭でアンバサダーを務めるなど、コロナ禍では日本映画界の“顔”として発信を続けてきた。映画界の厳しい現実を見つめつつ、「こういう時にいい作品が出てくる気がする。厳しい時代になると思うけど、映画を諦めたスタッフや仲間がまた戻ってこられるよう、現場をつくり続けたい」との思いを語った。
「すばらしき世界」は、佐木隆三の小説「身分帳」を原案に、西川監督が舞台を現代に置き換えた作品。主人公の三上は元ヤクザの殺人犯。出所して人生をやり直そうとする姿を通して、社会の光と影を映し出す作品へと昇華させた。
希望と絶望 ギリギリのバランスで
「小説の主人公、僕はあんまり好きじゃない。お客さんは2時間どうついてくるんだろうと不安でした」。だが、映画の三上は、味わい深い演技と相まってどこかチャーミングで憎めない存在になっている。「(彼は)右に行くか左かわからないギリギリのバランスで生きている」という言葉の通り、三上は正義感が強く困った人を放っておけない。半面、すぐ頭に血がのぼり、けんかっ早くもある。そんな彼の日常で繰り返される、小さな希望と絶望が描かれる。
弁護士やスーパーの店長など、…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル