農林漁業団体職員共済組合(農林年金)の制度変更について十分な説明がなかったため年金に差額が生じたとして、福岡市西区の元農協職員の80代女性が20日、組合に約380万円の支払いを求めて福岡地裁に提訴する。
女性の代理人弁護士によると、同種訴訟は全国的にも珍しく、約40万人(昨年3月末現在)に上る農林年金受給者に影響が広がる可能性もある。
女性は1955年から福岡市内の農協に勤務し、退職後の89年から農林年金を受給。別の農協に勤めた夫が2001年に死亡し、退職年金と遺族年金の一部を併せて受給していた。
組合の年金給付事業は02年4月に厚生年金と統合。退職年金の一部は農林年金から継続支給されるなど制度が複雑化し、受給パターンの選択肢が増えたという。女性は、制度変更に関する組合側の情報提供が不十分で、誤った説明をされたため適正な額を受給できなかったと主張。02年4月~17年3月の差額約380万円の支払いを求めている。
女性の代理人弁護士は「複雑な制度変更であり、丁寧な説明が必要だった。同じような不利益を被った人は少なくないはずだ」と指摘。組合側は「コメントは差し控える」としている。 (鶴善行)
西日本新聞社
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