大学入学共通テストの問題を試験時間中に撮影して流出させ、外部から解答を受け取った受験生がいた疑いが浮上した。大学入試センターや各大学は不正防止に努めてきたが、電子機器などの性能が高度化するなか、試験監督頼みの対策の限界を指摘する声もある。
「サービス悪用、非常に遺憾」
問題を流出させたとみられる人物と解答を伝えた人の接点は、家庭教師紹介サイトだったとみられる。
サイト運営企業の代表によると、15日の夕方、講師として登録している大学生の一人から「カンニング行為を手伝わされたかもしれない」と連絡があった。
やりとりのあった「生徒」の依頼で解答を送ったが、共通テストの問題だったかもしれないとの内容だったことから、この「生徒」のアカウントを凍結。過去にこの「生徒」とやりとりがあった複数の講師に、同様の依頼があっても対応しないよう注意喚起をした。この「生徒」にも事実確認のメールを送ったが、返信はないという。
代表によると、問題を流出させたとみられる「生徒」は昨年12月にサイトに登録。講師らとのやりとりは「スカイプ」のIDを教えてほしいといった内容ばかりで、今回のような事態は「予見できなかった」という。代表は「試験問題を解いてほしいというやりとりは、スカイプのメッセージ機能を使っていたのではないか。私たちのサービスがカンニングに悪用されていたとしたら、非常に遺憾だ」と話した。
このサイトに講師として登録している東京大3年の男性(21)によると、昨年12月12日、「高校2年の女子生徒」を名乗る人物から、「1月15日に体験授業をしてほしい」とのメッセージを受け取った。
男性が「お受けします」と返すと、2日後に「実は前にお世話になった先生があまり良くなくて」と前置きし、家庭教師を依頼するかどうかの「テスト」として問題を解いてほしい、との返信があった。問題について「難易度は(大学入試)センター(試験)ほど」などと説明したうえで、「(1月15日の)11時~12時に世界史、13時~14時に現代文」と時間帯の指定もあった。
男性は「時間が合わない」と断り、やりとりは途絶えた。共通テスト初日の夜、サイト運営者から、この人物のアカウントについて「規約に違反した可能性があるため、停止した」との連絡があったという。
男性は、打診された時点では共通テストの日だと気づかなかったといい、「日程が合っていれば、力を貸してしまったかも知れない怖さがある」と話した。
スマホ使用は禁止、でも「チェックは難しい」
大学入試センターによると…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル