1カ月前の7月21日に投開票された参議院選挙では、投票率が50%を切りました。2人に1人の有権者すら投票に行っていない状態で、若い世代ではもっと減ります。そんな多勢の動きと真逆にいる、1人の大学生に会いました。参院選には、もちろん投票に行ったほか、家族にも選挙の話を振り、家庭内の「政治スルー」を打ち破ったと言います。「意識高い系と呼ばれることですか? 気にしないですね」。投票を「割と楽しみ」と語り、等身大な姿で選挙を受け止めた若者から、政治と接する「きっかけ」について考えてみました。(朝日新聞記者・高野真吾)
数少ない若者「役割を果たせた」
7月21日午後、明治学院大学3年生の深沢留衣さん(20)は、都内の自宅から徒歩10分ほどの小学校にいました。ここの体育館で、投票を済ませるためです。
「イベント感じゃないけど、(投票日が)近づくたびにワクワクしてくるようになりました。割と楽しみというか、そういう気持ちが強くなりました」
投票前の気持ちをこう表現。階段を上がり、「投票所」と書かれた看板横を通り過ぎ、体育館に向かっていきした。
5分後、笑顔で戻ってきました。
「任務を終えた、役割を果たせた気持ちですね。選挙の結果もそうですが、若い人がどれだけ投票に行ったのかも気になります」
記者は20分ほど、この投票所の入り口にいました。ポツポツと来る人は、ご年配がほとんどです。例外は、小さい子ども2人を連れた30代と見られる夫婦らしい男女など数人ほど。深沢さんのテンションとは裏腹に、若い世代の投票離れを体感する結果となりました。
パタゴニアの「選挙カフェ」に参加
深沢さんを知ったのは7月8日夜、横浜市内で開かれた「ローカル選挙カフェ」でした。アウトドア企業の「パタゴニア」が開いたイベントで、選挙や政治について参加者同士が自由に話をするものです。
横浜・関内店では約50人が参加。学生から子ども連れの男性まで、様々な人たちが数グループに分かれ、意見を述べ合いました。深沢さんはイベントが開かれたお店で働いているゼミOGに誘われて、参加したそうです。
各セッションの議題は、「選挙について思うこと」「私たちの暮らしと政治」「投票率を上げるには?」でした。「投票率」では、実際の自分の立場とは関係なく、「選挙に行く派」「行かない派」に分かれ、議論を深めました。毎回、グループのメンバーを変えながらの取り組みでした。
セッション開始前に「自由に意見交換」するけど、「特定の政党や候補者の話題・応援は禁止」との「ルール」が示されます。どこのグループでも、参加者はルールを守り、真剣かつ和やかな雰囲気の中で、話し合いが行われました。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース