1923年9月1日に発生した関東大震災の直後に、被災地を撮影したとみられる映像のフィルムが見つかった。静岡県旧伊東町(現伊東市)を襲った津波の跡も収められ、津波の被害を記録した国内で最も古い映像の一つとみられる。研究者は「関東大震災による津波被害を知り、防災を意識するうえで貴重な映像だ」と指摘する。
見つかったのは、13分30秒ほどの35ミリフィルム(16コマ/秒再生)。津波で家屋が押し流され、倒壊した様子や、橋の上に乗り上げた船といった被災直後とみられる旧伊東町などの状況が捉えられている。冒頭には「関東大地震 大正十二年九月一日 大阪朝日新聞社撮影」というタイトルが入っている。
発見したのは東京・板橋区立教育科学館の研究員、山端健志さん(25)。関東大震災100年に合わせた展示を企画する中で、昨年秋に「関東大地震」と記載された骨董(こっとう)品のフィルムを入手した。損傷が進んでいたことから、自身の大学時代の恩師である映像文化史研究家、松本夏樹さんを通じてフィルムの復元技術を持つ「IMAGICAエンタテインメントメディアサービス」に復元を依頼。内容を確認したところ、貴重な映像であることがわかったという。
この映像のフィルムは朝日新聞社内に保管されていないが、被災地の同じ場所を撮影したとみられる写真は資料として残されている。
朝日新聞の社史や当時の大阪朝日新聞の記事によると、大阪朝日の撮影班は地震発生の当日午後、関東方面へ出発。途中で鉄道が不通となり、たどり着いた静岡県の沼津周辺の被害状況をフィルムに収めた。
フィルムは大阪に送られ、9…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル