関西電力の役員らが、同社の高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から多額の金品を受け取っていた問題で、関電は2日午後に再び記者会見して事情を説明する。9月27日の前回会見では、受領した20人の氏名や受け渡しの実態、社内処分の詳細などが示されず、政府や株主、顧客らから猛批判を浴びた。関電は一転して詳しく説明するとしており、元助役側への便宜供与の有無などが焦点となる。
関電の昨年7~9月の調査では、八木誠会長、岩根茂樹社長ら役員やOBを含む20人が3億2千万円相当の金品を受け取っていた。一方、関電の全額出資子会社「関電プラント」(大阪市)が30年以上にわたって森山氏と非常勤顧問の契約をし、同社は森山氏と関係の深い建設会社に、少なくとも1億5千万円の工事を発注していたことも発覚。森山氏側に便宜供与がなかったか、取引で関電に損失が生じなかったかなど検証が必要だ。電気料金が還流して関電幹部に渡ったとされる疑惑は払拭されるか。
関電は前回会見で、岩根氏と八木氏を除く受領者の氏名、金品の内容、受領時期などの実態は「個人の話」として明かさなかった。2日の会見ではこれらも説明する。金品の多くは個人で保管し、国税当局の調査後に返却したとされるが、適切な対応だったかどうかも問われる。
また、前回会見で関電は森山氏の氏名にすら言及しなかったが、2日には森山氏の経歴や人物像まで説明する方針。「問題をより詳細に知ってもらうため」(岩根氏)としており、関電との関係や、つきあいの実態を明らかにしたい考えだ。
関電は新たに設置する調査委員会の概要も公表する。昨年の調査結果は取締役会に報告されなかったうえ、金品の受領を確認した幹部3人を今年6月の役員人事で昇格させるなど、同社のガバナンス(企業統治)の機能不全や、コンプライアンス(法令順守)意識の希薄さが指摘されている。
「前回の会見は不十分だった。今回は理解を得られるよう努めたい」
2日の会見を前に、岩根氏は報道陣にこう話し、「この課題を解決するために、しっかり先頭に立って引っ張っていきたい」と意欲を示した。ただ、引責辞任を否定する岩根氏と八木氏の進退については、改めて質問が集まりそうだ。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース