横浜市旭区の聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院で新型コロナウイルスの院内感染が収まらないことを受け、横浜市保健所は18、19の両日、感染症法に基づく立ち入り調査を実施した。感染防止策の不備が複数確認されたという。
横浜市によると、同病院で、感染者集団の最初の陽性患者が確認されたのは4月21日。直後に保健所が調査に入り、感染防止策の徹底を指導したが、5月19日までに患者36人、医師5人を含む職員42人の計78人の感染が確認された。今回を含めて、立ち入り調査は同一施設への回数としては異例の3度に及んでいる。
18、19日の調査で、保健所は消毒や手洗い、防護服の着脱などを実際に見て回った。その結果、看護師の詰め所にある共用パソコンの指紋認証部分の消毒が不十分▽職員が病室入り口にあるタッチパネルを触った後の手指消毒が不十分▽防護服を脱ぐ最中に髪を触るなど動作が不適切、などの点が確認された。
病院側は院内用ウェブサイトで感染防止策を周知していたが、「(現場で)どれだけ徹底されているかを把握していなかった」(船山和志・市健康安全医務監)という。感染防止策の徹底を巡回指導する常設の院内部署は、責任者の医師が最近交代し、先週から巡回指導を始めたという。船山氏は感染拡大の原因として、医療用マスクを着けていない職員が、患者のたん吸引時などに生じる微粒子を吸い込むなどして感染した後、感染を防ぐ動作の不十分さから職員間で広がった可能性を指摘した。(吉野慶祐)
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院は19日、ホームページで感染状況などについて説明した上で、病院長名で「横浜市行政及び保健所の指導のもと感染拡大防止に向けて引き続き全力を挙げて取り組んでおります。ご迷惑をおかけいたしますが、感染拡大防止及び一刻も早い病院機能回復を目指して全力を尽くしておりますので、引き続きご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします」とコメントした。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル