障害のある子どもを育てる親たちにとって、自分たちが老い、亡くなった後にわが子がどうやって地域で暮らしていくのか、という不安は大きい。こうした「親亡き後」の対応や支援について学ぶシンポジウムが2月15日、福岡市であった。障害者の生活には障害福祉サービスの事業所や地域とのつながりが不可欠となるため、日ごろから、さまざまな相談に応じる専門職との関わりが重要、との認識で一致した。
シンポは一般社団法人「障がい者の明日を考える会」(福岡市東区、荒牧功一会長)と西日本新聞社が共催。障害のあるわが子と自宅で同居する親たちを中心に、約60人が参加した。主に(1)お金(2)住む場所(3)身の回りを支える障害福祉サービス-について、パネリストが意見交換した。
▼財産「信託」の方法
生活資金として、できるだけわが子に財産を残したい、と多くの親は願う。まとまったお金を適切に使ってもらうための仕組みや支え手も必要となる。
司法書士の原田憲さんが財産を残す方法として紹介したのは、適切な時期に適切な金額が本人の手元に渡るようにする「信託」の仕組み。財産を、短期間で誰かに使われるような事態を避けることができる。
親族など、信頼して財産を託せる人がいることが第一条件となるが「財産を、誰かに『点』で渡す遺言とは異なり、まず妻へ、亡くなれば障害のある本人に、残ればお世話になった施設に、など、子どもの将来を考えて親の代で特定できる利点もある」と述べた。
原田さんは、財産を誰かが日々管理し、必要な分だけ本人に渡したり、施設利用料を払ったりする別の仕組みとして「成年後見制度」にも言及。もともとは意思疎通や判断が難しい人の権利を守る制度で、後見人には報酬も必要となる。
「法定後見」では裁判所が後見人などを選任し、現在は全体の約7割が司法書士などの専門職。「本人の判断能力に問題がない場合は両親が元気なうちに、親族など後見人としてふさわしい人を見極め、契約することができる『任意後見』を勧めたい」と語った。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース