不法残留する外国人らの迅速な送還や、長期収容の解消を目的とした入管難民法改正案が13日、衆院本会議で審議入りした。2年前に廃案となった旧法案の骨格が維持されており、立憲民主党などは厳しく批判した。
斎藤健法相は改正案の趣旨説明で「保護すべき者を確実に保護しつつ、退去強制手続きをいっそう実効的にすることは、適正な出入国在留管理を確保するうえで喫緊の課題」と強調した。
これに対し、立憲の山田勝彦議員は「必要な法改正は、強制送還する執行力の強化ではない」と批判。共産党の本村伸子議員は、前回の法案とほぼ同じ内容だと指摘し、「外国人の人権無視と批判されたものを再び提出する政府の傲慢(ごうまん)な姿勢は許されない」と述べた。
現行法には難民認定の申請中であれば、回数を問わずに一律に送還が停止される規定がある。政府はこの規定が送還を避けるために「乱用」されていると問題視し、改正案では3回目以降の申請者(相当な理由がある場合を除く)や、3年以上の実刑判決を受けた人らには規定を適用せず、送還を可能にする。
長期収容の解消策としては、監理人となる支援者らの下で、収容せずに強制退去の手続きを進める「監理措置」を導入し、収容か監理措置かは個別に判断する。収容した場合は、3カ月ごとに監理措置への移行を検討し直すという。
旧法案は2021年の通常国会に提出された。日本の難民認定率は海外に比べて極端に低い1%程度にとどまる中で、難民申請を制限するなどした内容に対し、国内外から「国際的な人権基準を満たしていない」と批判を受けた。
名古屋入管に収容中だったスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が同年3月に死亡した問題を受けて、政府・与党は成立を断念し、同年秋の衆院解散で廃案となった。
この日はウィシュマさんの遺族も国会を訪れ、通訳を介して審議を聞いた。妹のワヨミさん(30)は傍聴後、「人の命を奪うような法案ではなく、人権を守るような法案を通してほしい。入管がつくった今回の法案は一切信用できない」と話した。
難民に携わってきた専門家はどう見るか
難民の問題に長年取り組む専門家に、難民認定の実態や法案の是非を聞いた。
■NPO「難民を助ける会」柳…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル