電車内で、料理人らが持ち運んでいた包丁を「凶器」だと勘違いした乗客たちが混乱に陥り、電車の運行にも支障をきたすケースが相次いでいる。なぜ人々は冷静さを失い、パニックとなったのだろうか。
「キャー」
25日午後4時ごろ。JR山手線に乗っていた自営業の女性(33)が新宿駅で下車する直前だった。
好きなアイドルグループの新曲が流れるイヤホン越しに叫び声が聞こえ、隣の車両から人々がなだれ込んできた。
その様子を見て逃げようとする人、力ずくでドアを開けようとする人、泣き叫ぶ子ども……。
何が起こっているのか分からない。「でも、とにかく何かヤバイことが起きているみたいだ」
とっさに、女性の脳裏にも「刃物」「放火」「爆弾」といったキーワードがよぎった。
逃げて下車した後で、「(車内に)放火された」ようだと話している人もいた。
「パニックの人が一番怖い」
「パニックになっている人たちが一番怖かった」。女性は騒動をこう振り返った。
警視庁新宿署によると、駅員から「山手線の車内で刃物を振り回している人がいる」と110番通報があった。
駆けつけた警察官が、現場で刃物を持っていた男性から事情を聴いたところ、男性は自身を「料理人」だと話した。
男性の説明によると、男性は当時、布巾で覆われた包丁2本を手に持って乗車していた。
だが、電車に揺られるうちにうたた寝をして、包丁を落とした。そのはずみで、布巾から刃の部分が見えるようになっていた……という。
署の調べでは、通報内容にあったような、男性が「刃物を振り回している」事実も確認されなかった。
一方、東京消防庁によると、この騒動で車内がパニックに陥ったことで、転倒するなどして20代と50代の男性2人が軽傷を負ったほか、山手線を含む計14本に最大約19分の遅れが出た。
相次ぐトラブル 刃物所持、正当な理由あったが
なぜパニックが起きるのか。社会心理学の専門家は、三つの条件と「きっかけ」があると指摘します。どうすれば混乱を押さえられるのかについても言及しています。
同様のトラブルは、19日に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル