磯部征紀、小川崇
京王線の電車内で乗客17人が重軽傷を負った事件を受けて、国土交通省は2日、異常が発生して緊急停車した駅でホームドアと電車のドアがずれた場合、両方のドアを開けて避難誘導することを基本とするよう鉄道会社に指示した。
JRや私鉄など32社の安全責任者が参加する会議で各社の意見を踏まえて決定した。今後、再発防止対策や開扉に関する具体的な運用方針を作成するよう求めている。
このほか国交省は、車内の非常通報装置の使用について、危険が差し迫っている場合は乗客との通話は困難だと指摘。複数の装置が押された場合などは、通話なしでも緊急事態と認識して周辺の他の電車の停止を行うことも指示した。
今回の事件では、事件発生後、車内の非常通報装置が複数箇所で押された。乗務員と通話できるタイプだったが乗客からの応答はなく、乗務員はこの段階では状況を把握できなかった。
電車はその後、国領駅に緊急停止する際、所定の停止位置に止まれず、電車のドアとホームドアの位置がずれた。車掌は乗客転落の危険を考慮して双方のドアを開けず、乗客が窓から避難する事態になった。
京王電鉄の担当者は会議後、「ドアを開けなかった判断は結果的に正しかったが、もっと正しい答えはあると思う。より乗客が安全に避難できるよう規定を見直したい」と述べた。(磯部征紀、小川崇)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル