売れ残りの恐れがある食品などをインターネット経由で店側が出品、消費者が買うことで廃棄を防ぐ取り組みに、東京都八王子市が乗り出した。サービスを用意したのは市で、店や消費者に経済的な負担はない。市は個人経営の店などでの食品ロスの削減を期待する。
高尾山ケーブルカーの清滝駅近くにある、いなりずし店「高尾すみれ庵」(同市高尾町)。観光客らにお菓子なども販売するが、天気の悪い日などは人通りが減り、売れ残ることもあるという。
そこで利用を始めたのが「タベスケ」という食品マッチングサービス。このままだと売れ残りが発生すると店側が判断した場合、店は値下げをした商品をサイトにアップする。サイトは事前に登録した消費者が閲覧でき、気に入った商品があれば、店に連絡して購入できる仕組みだ。
同店では5個入り(税込み850円)のいなりずしが売れ残りそうな場合、同680円などに値下げして売り切りを目指す。値下げの結果、売り切れることは珍しくない。店長の和田貴世子さん(26)は「外出先でもスマホで簡単に、割引販売を伝えられるのがいい」と話す。
タベスケは、京都府の商社「G―Place」が、兵庫県姫路市の依頼で2021年春に開発した。食品ロスの削減と地域の活性化が狙いで、ポイントの一つは出品時に店側が商品の重さを提示できること。客のアカウントには購入履歴が残り、店も客も食品ロスの削減にどれだけ貢献出来たかが分かる。
スーパーなどの大型店では閉店前の値引き販売は珍しくないが、個人店では値下げを多くの人に知らせるのは難しい。そんな課題もクリアできる仕組みだ。現在、全国の14自治体が参加し、登録した消費者は約2万7千人に上る。全国では約1万件の取引が成立し、累計で約15トンの食品ロス削減になったという。
導入した自治体の一つが八王…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル