宮崎市の繁華街ニシタチでは、新型コロナウイルス感染予防の営業自粛で多くの店が閉じた。困ったのは店主だけではない。約200匹いる野良猫たちが腹をすかせている。ふだんえさをくれる飲食業者らが出勤しなくなったからだ。
地元商店街は猫に不妊・去勢手術を施し、「地域猫」として共生する取り組みをしている。だが、飲食業者の多くが出勤を控え、街のあちこちにあるえさ置き場が空っぽになることも。猫たちは開くことのない店の前で待ち続けたり、ゴミ箱をあさったり……。
4月に発足したボランティア団体「宮崎ねこの会」(事務局090・4587・2315)が、そうした実態をSNSで伝え、えさの提供を呼びかけたところ、市民から続々とキャットフードが寄せられた。
今では、ねこの会の上野広美さん(51)がニシタチの有志約10人と手分けし、1日1~2回、えさを与えている。首から鈴をぶらさげた上野さんがチリンチリンと音を鳴らしながらえさを運ぶと、路地裏から次々と猫たちが姿を見せる。
「待たせたねー。おなかすいてたねー」と声をかけると、それに答えるように、ニャーニャー、ニャーニャー。先を争うようにむさぼり始めた。(佐藤修史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル