Twitter上で5月、首相官邸のウェブサイトに掲載されている「三権分立」についての図で「『国民』と『内閣』の間の矢印の方向がおかしい」と話題になりました。教科書に掲載されている一般的な三権分立の図では、「国民」から「内閣」の方に向かって「世論」の矢印が伸びていますが、話題となった首相官邸ウェブサイトの図では、その矢印が反対方向で「行政」との言葉がありました。しかし今回、矢印の向きが修正され「行政」となっていた文言も「世論」に変更されました。なぜなのでしょうか。BuzzFeed Newsは、内閣官房内閣広報室に取材しました。【 BuzzFeed Japan / 冨田すみれ子】
修正前は何が問題だったのか。内閣広報の見解はどのようなものだった?
まず、「三権分立」とは、日本政治の基本的な枠組みです。主権である国民のもとで、国会(立法)、内閣(行政)、裁判所(司法)の3つの権力が互いにチェックし合い、バランスを取る仕組みを表したものです。 主権者の国民は、国会(立法)に対しては「選挙」、裁判所(司法)に対しては「最高裁判所裁判官の国民審査」、そして内閣(行政)に対しては「世論」で、それぞれ影響を与えることができます。 衆議院が掲載している三権分立の図は、学校の教科書に掲載されているものと同じで、「国民」から「内閣」の方に向かって「世論」の矢印が伸びています。
一方、首相官邸が掲載していた図では「国民」と「内閣」の間には、「内閣→国民」の方向で「行政」という矢印が付いていました。 これにTwitter上では「矢印が逆ではないいか」「内閣が国民を縛るように見える」「国民の声(世論)を活かしていくのが正常な社会では」といった意見が出ました。 これついて5月11日、BuzzFeed Newsが内閣官房内閣広報室に取材したところ、担当者はこのように答えていました。 「1998年から20年以上にわたり歴代政権で使われているもので、当時どのような意図で作成し掲載されたものかは分かりかねます」 「教科書の図は各出版社がそれぞれの認識に基づいて作ったものです。政府として公式の図はないため、『この図を使ってください』などとお伝えすることはありません。なので、図の違いは『視点の違い』です」 また、「政府として三権分立について公式な図はない」とした上で、矢印が「国民→内閣」でなく「内閣→国民」の方向に「行政」で伸びている理由としては「あくまで、行政サービスを提供するという意味」という答えでした。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース