首都高速道路の上限料金が2022年4月から、普通車で現在の1320円から1950円に引き上げられる見通しだ。16年以来の料金改定で、一気に5割近い値上がりとなる。一部の路線への集中を解消するためだが、背景には首都高ならではの理由もある。
現在の首都高は、走った距離に応じて料金を徴収する「対距離料金制」という仕組みだ。100メートルごとに10円単位で加算される。ただ、上限料金として1320円(35・7キロ以上走った場合)が設定され、それ以上走っても料金は変わらない。上限距離以上を走る車は1日に約13万4千台で、全体の約14%にあたる。
新しい料金体系では、上限が「1950円」(55キロ以上走行)に変わる。国土交通省の高速道路料金の改定案を受け、首都高などが方針を提示。すでに一般からの意見募集を終え、今後、首都高が通る1都3県や国交省などが認めれば適用される。
たとえば、東京都世田谷区の「東京インターチェンジ(IC)」付近―埼玉県川口市の「川口ジャンクション(JCT)」(38・6キロ)は、現在は上限を超えているため1320円だが、1420円に値上がりする。横浜市金沢区の「幸浦IC」―千葉県市川市の「高谷JCT」の60・5キロ、「幸浦IC」―「さいたま見沼IC」(87・3キロ)などが上限の1950円がかかることになる。
背景に「長距離になるほど有利」な緩和措置
上限料金の引き上げの背景に、首都高の一部区間に車両が集中している現状がある。
いまの首都圏の高速道路料金は、同じ入り口から同じ出口までであれば、首都高や圏央道など、どのルートを使っても原則「同一料金」になるよう料金が設定されている。利用者のルート選択の幅を広げ、混雑緩和のために車両を分散させるのが目的で、2016年に始まった。
ただ、ほかの高速道路と同じ料金水準にすると、首都高はそれ以前よりも大幅な値上がりになるため、緩和措置として上限料金1300円(その後消費増税で1320円)を設定した。その後、長距離になるほど首都高利用が料金的に有利になることが広く知られるようになり、一部の区間に車両が集中する事態となった。
たとえば、横浜横須賀道路の朝比奈IC(横浜市金沢区)から東北道の浦和IC(さいたま市)間。首都高経由と一部東名高速を使うルートがあるが、どちらも約88キロと総距離は変わらないのに、東名経由の3640円に対し、上限料金がある首都高経由なら1960円で済む。現状、利用者の9割近くが首都高経由を利用している。
これは特に料金が大きい例だが、今回の首都高の上限料金の引き上げは、こうした状況を改めることが目的だ。
首都高の料金改定にあわせ、ネ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル