大火により焼損した首里城(那覇市)。正殿などの再建に向け、玉城デニー知事は「全身全霊で取り組む」と明言し、国も前向きだ。ただ再建には、大量の木材や赤瓦などが必要なうえ、職人の確保など課題は多い。
「木材の調達はかなり難しいだろう」。那覇市の1級建築士中本清さん(71)はそう懸念する。焼失した正殿や北殿、南殿・番所などは、1992年に完成した。中本さんはそのときに設計責任者を務めた。
中本さんによると、強風や重い赤瓦屋根に耐えるため、直径1・5メートル以上、長さ約10メートルで湿気に強い木が百数十本は必要だった。本州の山林に、求めているような木があったが、地元の承諾などが得られず伐採できなかった。
調達できたのは、台湾のヒノキだった。「設計図は残っているので費用と資材が整えば再建は可能。だが、今は環境保護の意識も以前より高くなっている。調達できるだろうか」と心配する。
内閣府沖縄総合事務局によると、当時の整備費は、今回焼失した正殿が33億円、北殿と南殿・番所、奉神門(ほうしんもん)に計21億円、書院・鎖之間(さすのま)や黄金御殿(くがにうどぅん)、二階御殿(にーけーうどぅん)などに19億円の計73億円だった。
玉城知事は1日、首相官邸で菅義偉官房長官と会談。その後、記者団に、政府から財政措置を含めた支援が検討されていることを説明し、本土復帰50年となる2022年5月までに再建計画をまとめる考えを明らかにした。一方で「必要な資材や技術者がそろうのか、現実的な問題を検討しなければならない」と課題も挙げた。
首里城の建物には赤瓦が正殿だ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル