農作物を食い荒らす埼玉県内の野生鳥獣の世界で異変が起きている。長年トップだったイノシシによる被害額が減る一方で、アライグマによる被害が増え、県が7月に公表した2021年度の速報値で2年続けて最多になった。
県農業支援課によると、21年度の動物別の農作物の被害額はアライグマが最多の2348万円で、イノシシ1562万円、シカ1422万円、サル1109万円、ハクビシン672万円が続いた。アライグマによる被害は、野生鳥獣による被害全体の27%を占めた。
アライグマがトップになったのは20年度。19年度は2千万円を超えたものの、長年トップだったイノシシに次いで2位だった。20年度はイノシシが1689万円に減り、アライグマが2603万円に増えた。農業支援課が現在の形で調査を始めた07年度以降、アライグマの被害が最多になったのは初めてだった。
アライグマの20年度の被害を作物別に見ると、野菜が1986万円(76%)、果樹は455万円(18%)だった。地域別では、西部1387万円、北部553万円、東部446万円だった。秩父や西部、北部から、徐々に中央、東部に被害が広がっているという。
農業支援課は、未使用の農地や空き家が増えたことでアライグマの生息に適した環境が広がり、被害が拡大したとみている。また、イノシシについては、捕獲や侵入防止柵の設置といった対策が奏功し、被害が減った可能性が高いという。
農林水産省のまとめによると、20年度の野生鳥獣による全国の農作物被害は約161億円。シカ、イノシシ、カラスの上位3位以内で7割超を占めた。アライグマは4億1400万円(2・6%)だった。
同省は都道府県別の金額を明…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル