Jリーグが主催するプロサッカークラブ対抗のeスポーツ大会「eJリーグ ウイニングイレブン 2019シーズン」が14~15日に都内で開催された。人気モバイル版サッカーゲームの大会で、予選会へのエントリーは実に22万人。その中から選ばれた選手が、J1・J2の各クラブに3人ずつ配され、全40クラブで優勝を争った。eJリーグ初の王者にして、令和初タイトルを獲得したのは、F東京を2―1で破った清水エスパルス。頂点に輝いた3人が喜びを語った。(増田 寛)
1勝1敗で迎えたF東京との決勝戦ファイナルマッチ。3―3での延長後半の最終盤、清水の岡田悠選手(18)が土壇場で4点目となる勝ち越しゴールをねじ込み、試合終了のホイッスルが鳴った。
劇的な勝利に3人は抱き合って喜んだ。岡田選手は「大変でした。実感が全く湧かないですが、勝てて良かった」。決勝2戦目で清水に勢いを戻した鈴木大樹選手(14)も「チームに貢献できて本当に良かった」と胸をなで下ろした。初戦を落としたエースの佐野一平選手(22)は「気持ちいい! 超気持ちいいです!」と、チームの勝利と令和初のタイトル獲得に喜びを爆発させた。
結束力が試合を制した。3人ともサッカー経験者で静岡県出身の清水ファン。一致団結するのは目に見えていたが、エースは「予選グループさえ突破できるとは思っていませんでした」と弱気だった。F東京は予選から無敗の選手が2人おり、下馬評は圧倒的にF東京の方が上だった。
それでも1日目の予選から試合を追うごとに仲を深めた。3人は試合が終わるごとにお互いのプレーに意見し合い、決勝戦まで修正を続けた。「チームの総合力が一試合一試合やるごとに上がっていき、カバーし合えるチームに成長した。優勝はチーム力のおかげ」と胸を張った。
特にチーム力が発揮されたのは決勝第2戦。先に2勝した方が勝ちだが、勝つと計算していたエースが1戦目で敗退。負ければ終わりの崖っ縁に立たされた。チームの運命を託された鈴木選手は「予選で負け続け、なんとしてもチームに貢献したかった。勝つしかなかった。本当は褒められた作戦ではないですけど、ブーイングされても勝ちたかった」。2点リードの後半残り5分では時間消費のために苦渋のパス回しに徹した。泥くさく執念で勝利をもぎ取り、逆転優勝につなげた。
現実のJリーグでは、清水は14位と振るっていない。「この優勝を機会に、リアルの試合がいい方向に向けばうれしい。ここから連勝してくれれば」と3人とも口をそろえてエールを送った。
優勝賞金の500万円はプレーヤーではなく、クラブに支払われる。清水の使い道は「選手の育成」を公言している。王者の3人とも「やっぱり少しくらいは欲しいですけど」と笑いながら、「そこで育った選手に活躍してほしい。『僕たちが育てました』と言いたい」と期待を込めた。
◆佐野 一平(さの・いっぺい)1997年5月13日、静岡県出身。22歳。フル代表。幼稚園から高校までサッカー部でセンターバック。清水のファン歴は生まれてからずっと。好きな選手はジャンフレス・ドウグラス・ジャガス・マトス。
◆岡田 悠(おかだ・ゆう)2001年7月2日、静岡県出身。18歳。U―18代表。小学校から今までサッカー部でフォワード。清水のファン歴は生まれてからずっと。好きな選手は北川航也。
◆鈴木 大樹(すずき・たいじゅ)2005年3月1日、静岡県出身。14歳。U―15代表。小学校から中学校までサッカー部。清水のファン歴は6年。好きな選手は金子翔太。
◆eJリーグ Jリーグとコナミが共催するeスポーツ大会で、モバイルゲーム「ウイニングイレブン 2019」を使用して実施。同大会では選手たちは自分の入りたいクラブに実名でエントリーして予選に参加。勝ち抜いた3選手がチームを背負って本大会に出場する。年齢構成はU―15(15歳以下)、U―18(18歳以下)、年齢制限なしの3カテゴリー。予選会のエントリー数は22万人に達した。他のeスポーツ大会とは異なり、賞金は選手個人ではなく、クラブに入る。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース