6月28、29日に開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)では、会場のインテックス大阪(大阪市住之江区)に国内外の報道陣が延べ5800人詰めかけ、会議の内容にとどまらず大阪の文化、観光などさまざまな情報を世界に発信した。地元・大阪にとって、国際会議や展示会などを開く「MICE(マイス)」ビジネス発展への大きなステップとなった。一方、会議施設の貧弱さなどの課題も浮かび上がった。(岡本祐大)
■都市力の評価向上
政府の推計では、G20大阪サミットに各国代表団や報道陣など約3万人が訪れたとみられ、ほかに警察官ら警備関係者も大勢来阪した。会場では、関西の文化や技術などを紹介するスペースに94企業・団体が出展。海外報道陣向けに大阪や近郊を案内するツアーも計7回実施された。
こうした取り組みを通じ「日本は先端技術を展示」(香港紙サウスチャイナ・モーニングポスト)、「大阪周遊-女性レポーターの旅」(中国の新華社通信)など、各国のメディアで大阪の情報が大きく取り上げられた。大阪商工会議所の尾崎裕会頭は「サミットを安心して開催できる都市だとアピールでき、都市力の評価が高まったに違いない」と好影響を期待する。
ただ、海外メディアからは「施設が古い」との声も聞かれた。インテックス大阪は昭和60年の開業で、老朽化が進んでいる。展示面積は約7万平方メートルだが、世界の大規模展示場は10万平方メートルを超えており、大阪市の松井一郎市長は「海外と肩を並べる施設を整備したい」と語った。
■首相と大統領が長机に…
会議室の充実も課題だ。メインの首脳会議以外で各国首脳が出席したイベントでは、安倍晋三首相とトランプ米大統領、中国の習近平国家主席が同じ長机に座る様子が「ぎゅうぎゅう」だと揶揄(やゆ)された。
大阪観光局の東條秀彦MICE専門官は、G20大阪サミットの成功を「官民にとってハイレベルなトレーニングになった」と評価する一方、「今のままではハード面に限界がある。一過性ではなく継続的にイベントを開催できるよう、検証が必要」と提唱している。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース