浅野真
京浜東北線しかとまらない埼玉県川口市のJR川口駅に中距離電車の上野東京ラインが停車する見通しになった。奥ノ木信夫市長が8日会見し、JR東日本が川口駅に上野東京ラインを停車させる代わりに、川口市が新駅舎やホームの建設費用を負担する方針を明らかにした。一部は国庫補助を使うが、そのほかは起債や新たな基金の積み立てなどでまかなうという。
JRが示した計画案によると、建設費用は約420億円か389億円。既存の歩行者用デッキをどう活用するかで額が変わる。
市議会への関連議案の提出や市民の意見募集を踏まえ、早ければ2025年にJRと市が基本協定を結ぶ。川口駅に上野東京ラインが停車するのは、37年以降になる見通しだ。
川口駅は、京浜東北線のホームが1本あるのみだが、駅の乗車人員は1日あたり約7万1千人。国土交通省によると、同線の川口~赤羽間は混雑率142%と高い。人身事故などで同線が止まると、駅周辺が利用客であふれかえることもある。
市は中距離電車を停車させることで、街中の活性化が見込めるほか、事故時の京浜東北線の代替輸送手段としても活用できるとして、JRに請願を続けてきた。市やJR、商工関係者でつくる検討会が21年8月から具体的な協議を進めていた。
構想では、上野東京ラインのホームは駅西口側の市有地に建設する。既存の歩行者用デッキを拡幅し、ふたつのホームの間に改札口を設置。工事は測量や設計に2~4年程度、その後、ホームや駅舎の建設に10~12年かかる見通しだ。
奥ノ木市長は「これからは『選ばれる街づくり』が必要。都市間競争に勝つには中距離電車の停車が大きなポイント」と話した。
停車駅が増える分、川口駅より北の区間と都心との所要時間が長くなる可能性がある。(浅野真)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル