メディア空間考 藤谷健
太平洋戦争で最も無謀とされるインパール作戦。1944年7月の終了後、その犠牲者とされる数を大きく上回る命が失われていたことはあまり知られていない。
当時の兵士や住民らの証言で実態を明らかにした99分の番組「完全版 ビルマ 絶望の戦場」が10月16日、NHKのBS1で放送された。終戦の日に総合テレビで特集した59分の本編に多くの証言などを加え、再編集したものだ。
ビルマ近現代史が専門で、番組の監修にあたった上智大の根本敬教授は「日本軍に協力していたビルマ国民軍の元幹部や住民が、抗日闘争に転換した後、敗走する日本兵を襲った状況などを詳しく語った貴重な記録だ」と高く評価する。
NHKの阿部宗平チーフ・プロデューサーによると、インパール作戦の実相について取材を続ける担当ディレクターが、作戦後に犠牲者が増えていることに気づいたことが制作のきっかけになった。
だが生存者の多くは90代、なかには100歳を超え、証言を得るのは時間との戦いでもあった。悲惨な状況を思い出したくないという人も少なくない。昨年2月の軍事クーデターや新型コロナ感染症の影響で、外国メディアのミャンマー入国は厳しく制限され、現地取材ができない可能性もあった。
6月というぎりぎりのタイミングに現地で取材を始めたところ、これまで話すことを拒んでいた人を含め、想定よりも多くの証言を得ることができた。
阿部さんは、ウクライナやミ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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