「『もう来なくていいよ』が怖い」発達障害、カミングアウトすべきか…悩む19歳(西日本新聞)

復刻連載【19歳の地図】

 家族からの精神的暴力を訴えるLINEを西日本新聞「あなたの特命取材班」に送ってきた19歳のヒカル(仮名・敬称略)。自立を目指して始めたアルバイトは5カ月になる。ただ、発達障害の診断を受けているために「新たな悩みが出てきた」―。 【写真】雑踏の中に立つ19歳のヒカル  福岡県内で暮らすヒカルは幼い頃からコミュニケーションが苦手だった。がやがやした場所や大勢での会話では、余計な雑音が頭に残る感じがして、集中できない。自分ではその気はないのに、何げない言葉で相手を怒らせてしまうこともあった。  思春期を迎え、いじめに遭った。次第にうつ症状がひどくなり、中学からは保健室登校に。通信制の高校は週2、3日の通学だったが、次第にうつが重くなり、高校2年の頃には起き上がれない日も続いた。  高校はなんとか卒業でき、声優の夢をかなえようと専門学校に進んだ。最初は張り切ってリーダーシップを発揮したが、「そう」と「うつ」の激しい落差ゆえに、夏頃にはまた心が重くなった。症状は悪化、学校をやめることになった。  うつ症状のたび、病院に行こうと思うが体が動かない。家族も手を差し伸べてくれない。退校から1年。体調が少し回復したのを機に、精神科を受診することを思い立った。「未成年は親の同席が必要」と断られることもあったが、病院を探しだし、なけなしの貯金をはたいた。  診断は注意欠陥多動性障害(ADHD)と双極性障害(そううつ病)。「原因が分かったのでちょっと安心した」。独り立ちした後の助けになれば、と障害者手帳も自ら取得した。

◆期待に応えたい、苦手は苦手

 診断とほぼ同時に始めた店舗スタッフのアルバイト。だが、BGMの流れる店内で客の話をすぐ理解し、対応するのは難しい。計算や複数のことを並行してやるのも得意ではなく在庫管理などで一苦労だ。  「ちゃんとやればできるようになるって」。指導役の先輩に、嫌な顔をされることもある。いらだちを隠せない同僚もいる。  それでも、めげずに頑張るにつれて任される仕事も増えてきた。期待に応えたい。でも、苦手は苦手だ。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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