「あて書き」で作った少子化の吹奏楽 17人光る「個性の時代の音」

 かつては90人を数えた部員はいま17人しかいない。しかも運動部からの助っ人2人を含めてだ。

 少子化の波は、吹奏楽部にとっても例外ではない。

 17人は吹奏楽部としては小所帯だ。人数が少なくなれば、音の厚みは減る。小編成用の楽譜はそもそも少なく、50人規模の大編成用に書かれた曲を演奏するのは、1人で複数の楽器を掛け持ちするなど、無理がある。

 どうすればいいのだろう。

 長崎県雲仙市立小浜中の指導者で、一妙寺住職の森下晃英さん(64)は決心した。

 「曲を作ってもらおう」

 小浜中は全日本マーチングコンテストの全国大会に16回連続出場(3回連続出場の翌年は出場できない規定で出られなかった年は除く)の強豪校だ。ただ、全日本吹奏楽コンクールは県大会どまりが続いていた。森下さんは1980年から部を指導するが、90年代の最盛期には90人いた部員が大幅に減ったのが原因だった。

作曲家も驚いた変則的な編成

 吹奏楽コンクールの長崎県大会まであと3カ月弱。今年5月の連休明けに、森下さんは部のOBの友人で、吹奏楽作曲家の江原大介さん(40)に「小編成用の曲を書いてほしい」と依頼した。

 吹奏楽部の編成はかなり変則的だった。

 フルート、クラリネット、テ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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