今月20日午前10時すぎ、朝日新聞高松総局に不審な電話がかかってきた。ナンバーディスプレーには120から始まる12桁の番号が表示されていた。
スタッフが電話をとると、「お客様の電気料金は未払いのため、あと2時間で電気が停止します」という自動音声が流れた。畳みかけるように、電話機の「1」のキーを押すよう指示された。「怪しい」と思ったスタッフは、そこで電話を切った。
同様の電話は、翌日の21日にも2度かかってきた。自動音声が流れてしばらく経つと、実在の一般社団法人を名乗るオペレーターに切り替わった。スタッフが新聞社だと伝えると、電話は突然切れた。
香川県警生活安全企画課によると、こうした不審な電話がかかり個人情報を聞き出されそうになったという相談が、今月に入り10件以上あったという。
手口はこうだ。まず「電気が止まる」といった、不安をあおる趣旨の自動音声が流れる。続いて、電力会社の関係者を名乗る人物が氏名や住所を聞き出そうとする。現時点で、金銭的な被害は確認されていないが、うっかり個人情報を伝えた場合、悪用される可能性があるという。
四国電力が6月1日に家庭向け規制料金を値上げしたことに乗じたと思われる不審な電話も相次いでいるという。
県警には値上げ後の2週間で、四電やその関連会社を装った不審な電話に関する相談が5件寄せられた。「電気料金が安くなる」「割引になる」といった「お得な話」を持ちかけて、家族構成や財産について聞き出そうとしたといった内容だった。「割引になるか確認に行きます」と言って住所を聞き出そうとしたケースもあったという。
四国電力の広報担当によると、同社は停電に伴う工事をする場合や、顧客からの電話に折り返し連絡する場合などを除いて、顧客に電話をかけることはない。自動音声を使った電話をかけることもないという。
県警生活安全企画課の担当者は「不審だと感じたら電話を切り、周囲の人や警察に相談してほしい。個人情報は絶対に伝えないで」と注意喚起している。(内海日和)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル