「先の大戦」「第2次世界大戦」「15年戦争」「大東亜戦争」「太平洋戦争」「アジア太平洋戦争」……。戦後77年たっても戦争の名前が定まらない。どう考えたらよいのだろう。
「大東亜戦争」から負の側面も 波多野澄雄さん(外交史研究者)
「先の大戦」や「あの戦争」と呼ばれている戦争について日本国民が呼称を共有できているのかといえば、できていないと思います。私は歴史教科書の検定に携わった時期もありますが、標準的には「太平洋戦争」という呼称が使われる一方、「大東亜戦争」「アジア太平洋戦争」も併記される状況でした。
あの戦争はそもそも、単純な一つの戦争ではありません。四つの戦争からなる複合戦争だったのです。
まず1937年に始まった日中戦争があります。41年には日米戦争と、東南アジアを主舞台とする日英戦争が始まりました。終戦前後にはソ連との日ソ戦争も起きています。少なくとも四つの大きな戦場があったうえ、異なる戦場間を移動した兵士は少数に限られていた。それが、戦争イメージが一つに収斂(しゅうれん)しにくかった一因だと思います。
呼び名としての「大東亜戦争」を再検証する波多野澄雄さん。後半では、侵略された側の声を集める内海愛子・恵泉女学園大名誉教授、似た事例としての南北戦争を紹介するハーバード大学教授のアンドルー・ゴードンさんが語ります。
41年12月に対米英戦を始…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル