「あんな最期を…」 コロナに奪われた父、骨も拾えず

 新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて亡くなってから、13日で1年を迎えた。感染拡大に歯止めはかからず、この間、6千を超える命が失われた。最期に手を握ることも、骨を拾うこともできない――。残された家族は、やるせない思いを募らせている。

 「あんな最期を迎えるなんて、想像すらしていなかった。もう一度だけ直接会って、『今までありがとう』って伝えたい」

 札幌市に住む女性(38)は、段ボール2箱分になる遺品を実家で整理しながら、78歳で亡くなった父を振り返った。

 父は別の病気のため、昨年1月から北海道内で入院生活を続けていた。コロナのため、昨春以降は面会禁止に。寂しかったが「病院にいた方が安全」と前向きにとらえていた。

拡大する札幌市に住む女性と入院中の父がかわした携帯電話のショートメッセージ=女性提供

 昨年末、院内で患者の感染が見つかった。父はPCR検査の結果、幸いにも陰性だったが、「100%大丈夫ってことはないからね」と携帯電話越しに念を押すと、「分かっているよ」と落ち着いた声が返ってきた。

当初のPCR検査では「陰性」とされた女性の父。ただ、数日後に状況は一変します。「もっと親孝行してあげれば」。父が残したある物に、女性は今もやるせなさがこみ上げてくるといいます。

 だが、その2日後、病院から電…

2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment