山口啓太
東京・銀座の甘味処「銀座若松」が30日、130年の歴史に幕を下ろした。
銀座若松は1894(明治27)年、お汁粉屋として創業。1930(昭和5)年に客から「もっと甘いものが食べたい」と要望を受け、店の2代目がみつ豆に自家製のこしあんをのせ、あんみつが誕生したとされる。以降、「あんみつ発祥の店」として広まった。
71年に商業ビル「銀座コアビル」がオープンし、敷地内にあった店もテナントとして、その中に入った。創業以来、場所を変えずに営業を続けてきたが、今回、ビルの再開発に伴い、閉店することとなった。
この日夕方、店の前には食事と土産を目当てに50人ほどが列を作った。店の外観や商品を大勢の人が写真に収めていた。
東京都中央区に住む60代の主婦は40年ほど前、勤めていた会社が店の近くだった。「閉店すると知って、慌てて来た。当時から変わらない味で、懐かしくて、名残惜しい。最後にここで食べられて良かった」と話した。
東京都小金井市の自営業、水上治さん(75)は、「古くからある有名な店と知っていたので、最後になんとか一度食べたかった」と夫婦で訪れ、あんみつを味わっていた。「他にない素朴な味がいい。またどこかで食べられることを祈っています」
閉店予定の午後6時になっても客足は途絶えず、「在庫がある限り」と営業時間を延長した。
時期は未定だが、店は都内の別の場所で営業再開を検討している。店長の門脇桂子さん(43)は「創業時からたくさんのお客さんに支えられ、この場所で最後まで商品を出せたことに本当に感謝です。次の場所でも多くの人に知ってもらい、愛してもらえたらうれしい」と話した。(山口啓太)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル