宮野拓也、原口晋也、中島健、渡辺松雄、具志堅直
16日未明に成立した土地規制法について、九州・沖縄の米軍基地や原発周辺で暮らす人たちからは不安の声が上がった。
基地周辺から憤りの声
在日米軍の専用施設の7割が集中する沖縄。「第3次嘉手納基地爆音訴訟」原告団の事務局長、平良真知さん(70)によると、原告団の中には基地から1キロ以内に住む人も多いという。「いずれ権力者は法律を縦横無尽に活用するようになる。調査と称して圧力をかければ、訴訟への参加をちゅうちょする人が出るかもしれない」と危惧する。「分断されず、法律が撤回されるよう地道に活動を続ける」と話した。
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対運動を続ける安次富浩さん(75)は「コロナで集会や抗議活動がしにくいことを利用し、どさくさで成立させた。反対した野党も国民的運動にできなかった」と憤る。
辺野古の基地建設について、陸と海から監視を続けてきた。「活動が制限されかねない。すぐには見えなくても徐々に規制は強まる。最初は沖縄への影響が大きいだろうが、いずれ全国に及ぶということを本土の人も感じてほしい」
沖縄地元2紙も懸念の社説
沖縄の地元2紙は16日の朝刊の社説で、そろってこの法律について取り上げた。
沖縄タイムスは「米軍基地が集中し、離島での自衛隊基地建設が進んでいる沖縄県は、国境離島を数多く抱える地域」と指摘。「基地建設や機能強化に反対する市民の行動にこの法律が適用され、プライバシー権が侵害される」との懸念を示した。
琉球新報も「法案は、外国人が土地を所有すること自体は規制せず、基地周辺で暮らす自国民を監視対象にする内容にすり替わってしまった。基地と隣り合わせの多くの沖縄県民が対象となる」。さらに施設の「機能を阻害する行為」を挙げ「名護市辺野古の新基地建設に反対する市民の運動などが『阻害する行為』とされかねない」と訴えている。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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