JR東海は14日、リニア中央新幹線の東京・品川―名古屋の工事について、「2027年」としていた完了時期を「27年以降」に変更した。静岡県内で着工できるめどが立たない現状を踏まえたという。一方で同社は「27年開業の断念、延期ではない」とも説明。沿線の自治体や関係者からは、「早く開業を」「いつまで工事が続くのか」との声があがる。
「一刻も早く課題解決が図られ、開業時期が明確になることを強く期待する」
JR東海の発表を受け、沿線10都府県でつくる「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」の会長、大村秀章・愛知県知事はコメントを発表した。
自然環境に対する悪影響への懸念などを理由に、静岡県内の工事は、川勝平太知事が認めない状態が続いている。大村知事は14日夜、報道陣に「一刻も早い静岡工区の着工と一刻も早い開業をお願いしたい。川勝さんも建設促進期成同盟会に入っているんだから、よろしくお願いしたい」と語った。
岐阜県中津川市では、岐阜県駅(仮称)や車両基地の関連工事や造成が進む。地元の坂本まちづくり協議会の市岡勉会長(79)によると、住民は大型車両が行き交う工事現場の中を通勤・通学しているという。「いつまで工事が続くのか、おおよその期間を早く示してほしい。立派な駅ができるという楽しみが、遠のいていく気分でやりきれない」と話した。
岐阜県御嵩町では、トンネル工事の残土処分場をめぐり、前町長が「受け入れ前提」を表明したことに住民らが反発。昨年11月、受け入れ候補地に国選定の重要湿地が含まれていることが明らかになると、さらに反対の声が大きくなった。
今年7月に町長が代わってからは、町が設けた審議会で「ゼロベース」での議論が始まった。
処分場計画に反対する「上之郷地区リニアトンネル残土を考える会」の纐纈健史会長(72)は、「工期が遅れても、町とJRの協議は、なあなあにならないようにしっかり進めてほしい。まずは、町の方針を決める審議会の結論に期待したい」と話した。
岐阜県の古田肇知事は「課題を一つ一つ丁寧に解決して、27年以降のできるだけ早い時期の開業をめざしていただきたい」とのコメントを発表した。(保坂知晃、松島研人、本井宏人、良永うめか)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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