「雨でダメになる前に、少しでも運びださないと」
1月29日の午後、輪島市山岸町の土中美紀(みのり)さん(47)は、1階部分がほとんど潰れてしまった自宅で、思い出の品々を捜していた。家族の写真を収めたアルバムや、食器類などが出てきた。
台所周辺を捜していた美紀さんが何かを手に取り、声を上げた。
「あかん、泣きそうや」
手にしていたのは泥で汚れ、少し傷が付いたお重だった。
お重を見つめ、つぶやく。「あの日、あんなことを言わなければ良かった」
1月1日朝、美紀さんは仕事のために家を出た。夜には、同居する父・健一郎さん(74)と、東京から帰省する娘の優希さん(24)の3人で正月を祝うはずだった。
「今日は優希が帰ってくるか…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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