大阪府高槻市の会社員高井直子さん(当時54)が2021年7月、自宅で殺害された事件で、直子さんのいとこの姉妹2人が1日、大阪市内で記者会見を開いた。殺人などの疑いで逮捕された男は勾留中、福島署の留置場で自殺し、捜査は終結。2人は「無念を晴らす機会を奪い取られた。心身が安らぐことはない」とし、やるせない胸の内を語った。
「常に身近な憧れの存在でした」
遺骨と遺影とともに会見に臨んだ2人は、「お姉ちゃん」と呼んで慕った直子さんとの日々を振り返った。いとこの姉(45)が困りごとを相談すると、「たいしたことないで」と笑い飛ばし、安心させてくれる一面があったという。
直子さんにはきょうだいがおらず、施設で暮らす高齢の母を気にかけながら、一人で暮らしていた。
直子さんは、いとこの妹(42)に「最期は見送ってね」と冗談交じりに話したこともあったという。「でも、それはもっと先のことだと思っていたのに」と声を詰まらせた。
直子さんは21年7月、自宅の浴槽内で殺されているのが見つかった。直子さんには計約1億5千万円の生命保険金がかけられ、約5カ月前に養子縁組を結んだ高井凜容疑者(当時28)が受取人になっていた。
大阪府警は22年7月、養子縁組届を偽造したとする有印私文書偽造・同行使容疑で容疑者を逮捕し、8月に殺人などの疑いで再逮捕。容疑者は黙秘を続け、9月に福島署で自殺した。大阪地検は12月、容疑者死亡で不起訴処分とした。
真実が明らかになると期待していた裁判が開かれることはなくなった。姉は会見で、「なぜ直子姉ちゃんは殺されなければいけなかったのか」と涙を流した。
一方、容疑者の自殺後、署員が留置場の決められた巡回をしていなかったことなどがわかり、府警は福島署長ら18人を処分した。いとこらは、府警幹部から謝罪や説明を受けたという。
ただ2人は、処分された18人や容疑者の家族からの謝罪を求めている。妹は「それではじめて、『直子姉ちゃん、終わったよ』と言える」と語った。(甲斐江里子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment