今年、兵庫県の郷土研究雑誌「歴史と神戸」に一人の女性が特集された。2021年に75歳で亡くなった中田政子さん。市民団体「神戸空襲を記録する会」の代表として、太平洋戦争末期の神戸空襲を語り継いできた。活動の心のよりどころとなったのは、ただ一度の出会いも果たせなかった、姉の存在だった。
7月末、雑誌特集を記念して兵庫津ミュージアム(神戸市兵庫区)であったシンポジウム。同ミュージアム名誉館長で、雑誌に寄稿した田辺眞人さん(75)は中田さんをこう評した。
「思想的にも党派的にも偏らない、普通の市民の立場だった。空襲の記録づくりにあまり熱心でなかった神戸市役所を説得して、協力者にした功績は大きい」
中田さんは終戦直後の1945年9月生まれ。同年3月17日の神戸空襲の時にはまだ、母親のおなかのなかにいた。
母親は、兵庫区の大輪田橋で爆風に飛ばされて大やけどを負い、左手と両足首にケロイドが残った。
医師からは「おなかの子ども…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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