数多くの人気アニメを生み出した建物から、焼け焦げたにおいが漂っていた。京都市伏見区の「京都アニメーション」第1スタジオが放火され、34人が死亡した事件から25日で1週間。「京アニ」を愛するファンたちが、現場で、各地で、祈りを捧げた。
3階建ての第1スタジオは、1階部分が白いボードで覆い隠されていた。近くに設置された献花台は、25日早朝から訪れるファンの姿が途切れなかった。
午前10時35分、事件発生と同じ時刻。建物を静かに見つめていた愛知県の会社員、坂本有理さん(37)は「変わり果てたスタジオの姿を見ると、お悔やみを言いたくても何も言えなくなってしまう」と声を詰まらせた。
京都府宇治市に住むリトアニア人の大学院生オードリアス・サブーナさん(28)は、研究室の仲間とともに献花に訪れた。高校生のときにアニメをよく見ていて、日本文化や日本社会を学ぶきっかけになった。「巻き込まれた罪のない方への尊敬の念を込めて花を手向けました」と話した。
花やペットボトルの紅茶を供えた会社員三好秀樹さん(52)=岡山市北区=は「才能のある多くの人が亡くなって言葉が出ない。熱くてつらかっただろうなと思うといたたまれません」と手を合わせた。
宇治市は、吹奏楽部員の青春を描いたアニメ「響け!ユーフォニアム」の舞台。事件現場から約4キロ離れた京阪宇治駅では、犠牲者を悼み、負傷者の回復を祈って、訪れた人たちが千羽鶴を折っている。地元のNPO法人「まちづくりねっと・うじ」が22日から始め、約2千羽が集まった。8月4日まで続けるという。代表理事の日野真代さん(52)は「たくさんの方が苦しい思いをしている。皆さんの思いを届けたい」と話す。
25日、宇都宮市から訪れたファンの男性(19)は「この1週間、ずっと心配していた。もっと寄り添いたくて足を運びました」。近くの土出英夫さん(76)は「けがをされた方のできるだけ早い回復を祈っています」と話した。
追悼の輪はアニメファンの聖地、東京・秋葉原にも広がる。
商業施設「アトレ秋葉原」では事件翌日の19日から、「京アニ」へのメッセージをカードに書いて貼り付けられるボードを設置。訪れたファンらが哀悼の思いをつづっている。
「私が苦しい時もがんばること…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル