実家で介護していた当時91歳の母親を殺害したとして殺人罪に問われた熊本県八代市敷川内町、無職宮崎和代被告(64)の裁判員裁判の判決が20日、熊本地裁であった。西崎健児裁判長は、突然娘に窒息死させられた被害者の身体的、肉体的苦痛は察するに余りあるなどとして、懲役3年(求刑懲役7年)を言い渡した。
判決などによると、宮崎被告は3月22日午前3時半ごろ、同市二見洲口町に住む母親の宮崎久子さん(当時91)の首を靴ひものようなもので絞めたり、ポリ袋を頭にかぶせたりして窒息死させた。
西崎裁判長は量刑の理由で、認知症で普通の会話も難しく夜中に大きな声でわめくこともあった久子さんの排泄(はいせつ)物の処理を宮崎被告が頻繁に行っており、介護の負担は客観的に見て少なくないとしつつ、「懸命に生きようとしている母親を独断で殺害したことは身勝手である」と述べた。(大木理恵子)
お母さん、これが最後だから、どうか逝ってね
「お母さん、きょうで最後にしよう。私も後で一緒に死ぬから。そう思いました」。宮崎和代被告(64)は、母を殺害した時の気持ちを公判でそう振り返っていた。
その日、被告は午前1時半ごろに久子さんの排泄(はいせつ)の世話をして仮眠した。午前3時過ぎ、異音に気づき部屋へ向かうと、久子さんがタンスの引き出しを開けようとしていた。その腹からは、大腸がんを患い10年ほど前から使っていた人工肛門(こうもん)に装着した排泄物用の「ストーマ袋」が外れかけていた。清掃する間、久子さんはわめき続けていたという。
「それまでにたまっていたストレスがはじけて、思い切り頰を平手打ちしてしまいました。そうしたら、『殺される!』『人殺し!』と大きな声で言い始めました。今までたまっていたものがぷつんときれたような気がしました」
久子さんは17年夏から排泄や…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル