水俣病患者たちの姿を描き、被害の実相に迫った小説「苦海浄土」で知られる作家、石牟礼道子さん(1927~2018)の熊本県水俣市の旧宅が24日に古書店として再出発する。
旧宅は8年空き家だった。板張りを替えるなどの改装を一部に施す一方、道子さんが使っていた書斎跡には机や書物がそのまま残る。
水俣川河口にほど近い、水俣市白浜町の住宅街の一角に旧宅はある。近くに古い家があったが、夫の弘さんが1986年に建てた。
道子さんは熊本市内に仕事場を構えていたが、時々、帰ってきて夫婦水入らずのひとときを過ごした。
2015年に弘さんが亡くなった後は空き家になっていたが、京都市で古書店「カライモブックス」を営んでいた奥田直美さん(44)、順平さん(43)夫妻が移り住むことになった。
直美さんは、高校時代にエッセー「言葉の秘境から」に出会って以来の石牟礼文学のファンだ。
06年に順平さんと水俣や、同じ不知火海に面した天草を巡り、09年に京都市でカライモブックスを開いた。南九州でサツマイモを意味する言葉を付けることで、京都から遠く不知火海に思いをはせたという。
「いつかは水俣へ」と思い続けてきた。一方で、空き家のままの旧宅をどうするかは遺族らの懸案になっていた。奥田さん夫婦の思いが遺族に伝わり、移住が実現した。
驚きの「発掘」 本人しのばれる品々も
4月末に京都の店を閉じ、5月に引っ越し。夏の開店をめざした。旧宅の多くの資料は熊本市を拠点とする「石牟礼道子資料保存会」が整理を進めている。残っていた多くの荷物も関係者が片付けてくれた。
それでも、なお残された品々…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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