「お父さんごめん」認知症の夫絞殺した妻に有罪 裁判長が託した言葉

福冨旅史

 広島県竹原市の自宅で2022年5月、アルツハイマー認知症の夫(当時85)の首をネクタイで絞めて殺したとして、殺人罪に問われた妻(78)の裁判員裁判の判決公判が今年3月、広島地裁であった。裁判長は懲役3年執行猶予5年を言い渡した。

 判決によると、被告は昨年5月23日午前4時半ごろ、ネクタイ4本をつないでベッド脇の手すりに結び付け、寝ていた夫の首に巻いて引っ張り、窒息死させた。

 「お父さん、ごめんね」。被告はそう言いながら、3~4分にわたり首を絞めた。子どもたちは法廷で、父の介護を被告に任せきりだったと明かした。

 検察側は懲役5年を求刑したが、弁護側は「介護負担の重さなどで、相当に心身の負担が蓄積していた」と執行猶予付きの判決を求めていた。

 裁判長は「被告の責めに帰すことができない事情が多くあった」と結論づけた上で、「(被告は)被害者のお葬式に出られなかったと聞いています。家族みんなで生命の尊さを話し合い、弔ってほしいと思います」と語りかけた。(福冨旅史)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment