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村上友里
東京都北区で1992年、質店経営者の男性(当時75)が殺害された強盗殺人事件で、警視庁赤羽署が、質店の台帳など男性の遺族に返す必要がある証拠品計108点を紛失していたことがわかった。男性の遺族は「(父親の)思い出深い品を警察の不手際で失った」として、約304万円の賠償を東京都に求める訴えを東京地裁に提起。都側は今月26日の口頭弁論で請求棄却を求めた。
訴状や警視庁作成の資料などによると、この事件が2007年5月に未解決のまま時効になったため、赤羽署が東京地検から証拠品を遺族に返すよう指示された。しかし同署は、段ボールに入れた証拠品を署内の部屋に置いたまま返還せずに放置。部屋を整理した署員が10年、証拠品と気付かず廃棄したという。
遺族「証拠は仕事に関する大切なもの」
遺族が同署から紛失の説明を受けたのは、その3年後。20年8月には、同署の署長名で「お返しすべき遺品を廃棄してしまった。すべて当方に非がある」などとする書面が届いた。同庁が紛失を報道機関に公表しないことも記されていたという。
遺族側は訴状で、廃棄された証拠品108点について「被害者が精根込めて行ってきた仕事に関する大切なもの」と説明。問題発覚後の同署の対応も不十分で、「職務上の義務に反した」と訴えている。
警視庁は取材に「係争中のためコメントは控える」としている。(村上友里)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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