正午のチャイムが鳴ると次々と客が入ってきた。
「いらっしゃーい。今日は何しましょー」
「玉子丼とミニそば。ネギとかす、大で」。常連客だろうか着席する前に歩きながら注文した。
テーブル席や壁際のカウンター席を合わせた約30席はみるみるうちに埋まっていく。
店の電話が鳴る。出前の注文が入った。
「かつ丼ときつねそば。はいありがとう」
厨房(ちゅうぼう)では店主の見沢篤規さん(51)が五つのコンロの面倒をみながら、湯がいたうどんの湯切りをしている。
ここは、和歌山県庁の地下1階にある定食屋「信濃屋」だ。
県の記録によると、信濃屋は1982年10月に県庁内の別の場所で営業が始まった。当初はカウンターだけで、うどんとそばの店だった。大阪市の製粉会社で働いていた篤規さんの父、資規(もとみ)さん(86)が「脱サラ」して始めた。家族経営で、2010年度から現在の場所だという。
しかし、3月末でその歴史に幕を下ろすことになった。
何でも対応「カレーうどんにご飯をかけて」
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル