乗員約150人が新型コロナウイルスに感染したクルーズ客船コスタ・アトランチカ(イタリア船籍、約8万6千トン)が停泊中の長崎市に、ひときわ心を痛める男性がいる。地元に寄港する客船の撮影を続け、乗員とも交流してきた。再び、船が行き来する日を心待ちにしている。
「あれ?」
4月18日夜。三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊するコスタ・アトランチカを撮ろうと、海を挟んだ市内の埠頭(ふとう)に三脚を立てた松園雄介さん(26)は、異変に気づいた。乗客がいないはずの客室に明かりがついている。しばらくして、SNSを通じて交流がある乗員の男性からスマートフォンにメッセージが来た。「熱が出ている人がいる」
「まさか、コロナじゃないよな」
2日後、長崎県と長崎市は乗員1人の陽性を確認したと発表した。感染者は25日までに148人に。船内では、600人余の乗員が客室に隔離されていた。
松園さんは長崎出身。大学4年生だった2017年から、本格的に客船を撮り始めた。就職後は配属先の大分県で暮らしたが、年200隻前後が寄港する長崎で船を撮り続けたいと、長崎市内の会社に転職した。
#がんばれコスタアトランチカ SNSで発信
お気に入りは長崎港の入り口にかかる女神大橋。最大級の客船が通れるよう海面からの高さは65メートルもある。ライトアップされた橋を絡めて撮影したり、橋の上から撮ったりしている。
1年ほど前からSNSで写真を公開すると、外国人の乗員やその家族からメッセージが届くようになった。「仕事は大変だけど、写真を見ると頑張れる」「家族が乗っているので、写真を譲ってもらえませんか」。出入港時に橋で撮影すると伝えると、甲板で手を振ってくれる人もいた。
今年1月、中国で新型コロナが…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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