群馬県制作のテレビアニメ「ぐんまちゃん」の第11話を群馬テレビ(群テレ)が放送しなかったことをめぐり、県が群テレに放送を見送った経緯の詳細な説明を求める質問書を送っていたことがわかった。質問は見送りを決めた群テレの部署名や人数にまで及んでおり、専門家からも「放送局の判断に過度に介入するならば、放送の自由などに抵触しかねない」との指摘が出ている。(中村瞬、星井麻紀)
山本一太知事は16日の定例会見で「群馬テレビのメディアとしての判断、民間の判断は尊重しなければいけない」と述べていた。一方、県は同日付で山本知事の名前で質問書を放送幹事のテレビ神奈川に送付。群テレが受け取った。
県と群テレの関係者によると、質問は「今後の取り組みの参考とするため」とし、大きく3項目。①どこのシーンが、社の基準のどの項目に該当すると判断したかの具体的な提示②基準に抵触した事項について、視聴者の判断よりも社として放送中止を優先した理由の具体的な提示③放送中止を決めた部署、職名や人数などの構成、内部社員のみの場合に公平性や客観性はどう担保されているか――となっている。また、別の放送機会の有無も回答を求めている。群テレは朝日新聞の取材に、期日の24日までに回答する意向を示した。
群テレは第11話の放送前の12月上旬、テレビ神奈川を通じて放送しない意向を、理由も含めて県に伝えていた。その上で、県から改めて質問書が届いたことについて、関係者から戸惑いの声も上がっている。
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「ぐんまちゃん」は、全国の地方独立局8局や動画配信サービスで今秋から放送開始。県内では毎週日曜日の午前10時半から放映されている。群テレが12日に放送を見送った第11話は、どんな内容だったか。
ぐんまちゃんは「おじさん」というキャラクターと競艇場に出かける。おじさんは「帰るときには大金持ちさ」「帰りにはもっとおいしいものをたくさん食べさせてやるぞぉ」などと意気込むが「おじさんが買った舟券は、単勝も複勝も2連単も2連複も3連単も3連複も拡連複もすべて外れてしまいました」とのナレーションが流れ、落ち込むおじさんが映し出される。
おじさんは「帰りの電車賃もなくなってしまう」と意気消沈して帰ろうとするが、予想屋の「ラストレースをどーんと当てて、肩で風切って帰れる可能性があるんだぜ」という言葉に触発され、予想を信じて購入し、的中させる。最後の場面では「今日のことは2人だけの秘密だぞ」と伝える。
群テレ編成局の担当者によると、見送った理由は大きくわけて二つある。
一つは、日本民間放送連盟(…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル