井手さゆり
【動画】福島県浪江町で安波祭が行われた=井手さゆり撮影
東日本大震災による津波と原発事故で大きな被害を受けた福島県浪江町の●(くさかんむりに召、読みは「くさ」)野(くさの)神社で19日、豊漁と豊作を祈る「安波祭(あんばまつり)」が開かれた。震災後、神社がある請戸地区の多くが災害危険区域に指定され人が住めなくなったが、この日はゆかりの人たちが集い、神事や伝統芸能の「田植踊(たうえおどり)」などを奉納した。
震災での地区の死者・行方不明者は154人。原発事故で避難を強いられ、祭りは仮設住宅で継承された。2017年3月に町の一部で避難指示が解除され、津波で社殿が流された神社での祭りが翌年復活した。
町などによると安波祭は300年以上の歴史があるという。田植踊は地元の小学生が担っていたが、震災後は年齢や地域の縛りを緩めて伝統をつないでいる。
21、22年はコロナ禍のため神事のみだった。震災前から踊っている請戸地区出身の横山和佳奈さん(24)は「この場所で踊れてすごくうれしかった」。
今年は震災後初の村まわりが行われ、地区のかつての中心部や町内の災害公営住宅でも踊った。請戸芸能保存会の佐々木繁子会長(72)は「昔は家々を回って踊っていたので、一つずつ復興していけたら。請戸は亡くなった人も多く、供養の意味も込めました」と話した。
社殿は今年中にも再建を目指しているという。(井手さゆり)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル