「一筆啓上賞」という、ほんの数十文字に思いを込めた手紙のコンクールがある。かつて本や映画になった「日本一短い母への手紙」で全国的にも有名になった。「こころ」をテーマにした29回目の今年度、小学生から、思わず大人をうならせる一通が届いた。
主催するのは、福井県坂井市と丸岡文化財団。その由来は、徳川家康の家臣の本多重次が陣中から妻に宛てた短い手紙にある。「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」。お仙は後の初代丸岡藩主・成重のことで、妻子を気づかう簡潔な名文として丸岡城に碑が立っている。
今年度のテーマは昨年4月に発表され、40字以内の手紙を10月まで募集した。
挑んだ一人が、坂井市立平章小学校1年の古市旺大朗君(7)だ。
おうちの人と考えてきてね
丸岡城のそばにある平章小では、地元だけあって、全校で応募することにしている。古市君のクラスでは昨年7月の金曜日、担任の北矢明日香教諭から「おうちの人と一緒に考えてきてね」と、宿題として出された。
1年生の古市君は困った。テーマの「こころ」は難しく、「何を書いていいか分からなかった」からだ。
提出日の月曜日の朝になっても書けずにいると、見かねた母親のさやかさん(42)が助言した。「思ったことを書いてみなさい」
いっぴつけいじょうのしゅくだいへ
すると、登校直前に今回の作品ができあがった。宛名は「いっぴつけいじょうのしゅくだいへ」とした。
こころかぁ。むずかしすぎて…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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