「こっちは余裕ねえんだ」 全財産5万7千円を手に京アニへ向かった

 青葉真司被告(45)は2019年6月、包丁6本を持ってJR大宮駅(さいたま市)の西口に自転車で向かった。

 新幹線のほか、高崎線や京浜東北線埼京線などが行き交う駅で、1日の乗車人数は約22万6千人。JR東日本の管内では、品川駅に次ぐ第7位の多さだ。

 西口は地上の駅前広場の上に歩行者デッキがあり、通勤客や学生、買い物客、各種募金活動やギターの弾き語りをする人らで混み合う。

 青葉被告が公判で語った計画では、08年に東京・秋葉原で起きた無差別殺傷事件を参考に、「最低限必要なのは鋭い刃物ということで、当日に6本購入した」という。しかし、「大宮程度の人の密集では、刺したとしてもすぐに驚かれて逃げられることが分かっていたので」断念したという。

 計画した理由について公判で、京アニに自身の小説作品を落選させ、盗用させたのは「闇の人物のナンバー2」だと考えた、と自身が抱いた妄想について繰り返し説明。「ナンバー2や京アニに対するメッセージ性を込めた犯罪をしないと、逃れることができないと思った」とも述べた。

 青葉被告の話では、「ナンバー2」とは「ハリウッドシリコンバレーに人脈があり、世界で動いている。官僚にも影響力のあるフィクサーみたいな人で、公安警察に指示して自分を監視させていた」という。

 「(経済財政担当大臣時代の)与謝野馨大臣にメールを送ったのが原因で、つけ回されるようになった」とも説明した。

 さらに、事件を起こすことで「パクり(盗用)は害だ、ということを伝えられるのではないか」と考えた、とも語った。

「つっかえ棒がなくなったら倒れるしかない」

 青葉被告が言う「パクり」とは何のことか。

 16年、自身の楽しかった時期の思い出を詰め込んだ「分身」とも言うべき長編と短編の小説2作品を「京アニ大賞」に応募したものの落選した。

 ところが18年11月、京アニ作品の「ツルネ」をテレビで偶然見ていて、自分が小説に盛り込んだアイデアが盗用されたと思った。

 それは、割り引き食品を買うシーンだった。

 過去にも2度、京アニに盗用…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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