高松琴平電気鉄道(ことでん)は7月13日、琴平線三条―伏石間の下所川(げしょがわ)第一踏切(高松市三条町)で同日午前、遮断機が下りず警報機が鳴らない状態で電車が通過したと発表した。同社の踏切では、電車が近づいても遮断機や警報機が作動しない事案が頻発しており、先月末、四国運輸局から改善指示を受けたばかりだった。
同社によると、同日午前11時18分ごろ、一宮発高松築港行きの上り電車の運転士が、同踏切の遮断機、警報機が作動していないことに気付かないまま時速約60キロで通過した。約7分後に通りかかった下り電車の運転士は不作動に気づき、踏切の手前で停車した。踏切付近に通行人や車はなく、けが人はなかったという。
同社が調査した結果、同踏切近くの機器箱に設置された主電源ブレーカーが遮断されていた。同踏切の機器類は2020年11月の複線化工事の際に一新されたため、老朽化の可能性は低く、専門機関に依頼して原因究明を進めるという。
遮断機、警報機の不作動に気づかなかった上り電車の男性運転士(29)は「(次の)三条駅に停車するため、ブレーキ操作と場内信号機の確認に気を取られていた」と釈明したという。
不作動、「2015年度以降16件」
同社によると、踏切の警報機・遮断機が作動しなかった事案は、15年度以降16件あった。うち3件は運転士が気づかず通過していた。
多発する踏切の不作動事案を受け、四国運輸局は6月末、同社に改善措置を講じ、7月末までに報告するよう指示を出していた。
13日に会見した植田俊也専務・鉄道事業本部長は「お客様、沿線の皆様方に多大なご心配、ご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げる」と謝罪した。「踏切インシデント専門の課長を置くなど、対策を進めてきたが、結果として不十分だった。職員一丸となって、二度と事案を発生させない、強い決意のもと、再発防止に取り組みたい。(国への報告には)運転士への指導強化など、今回の事案への対策も盛り込む」とした。
四国運輸局の森一臣・鉄道部長は、「踏切で再び無遮断を発生させたことは誠に遺憾。ことでんに対しては、まずは今回の事象の原因究明、再発防止対策の徹底を指示するとともに、6月末の指示内容も含め、再発防止対策を見直した上で報告するよう警告した」とコメントを出した。(福家司)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル